2015年5月に開催されたスーパーGT富士大会は、主催者発表で9万人を超えて過去最高の入場者数を記録しました。(土日2日間集計)

またモータースポーツの最高峰F1は、16万5千人と下降傾向を下支えし前年度の15万人を上回りました。(金土日3日間集計)

全盛期は35万人を超えていたことを考えるとかなり減っていますが、一イベント単体で見ると10万人以上もの集客をできるイベントはそうはありません。

しかし、モータースポーツは人気低迷によりスポンサーが減少し、F1のTV放送もここ数年地上波での放送は行われておりません。

業界内ではモータースポーツの人気低迷は、若者の“クルマ・バイク離れ”を問題視しています。

そこで、レースの入場料を子供は無料にしたりキッズイベントを開催したり試行錯誤しています。

またモータースポーツを盛り上げるために、今まで築かれてきた文化の違うヨーロッパのモータースポーツを参考にしたらよいのでしょうか。

どうしたらモータースポーツが活性化していくか、DRPとしてどのように携わっていけるか考えていきたいと思います。

 

若者のクルマ・バイクへの関心は、昔からくらべると離れたというよりか“分散された”というほうが正しい表現だと思います。

日本にはアニメ、漫画、ゲーム等の世界に誇れるカルチャーがありますし、遊園地もちょっと話題になった水族館も映画館もゲームセンターも世界最高水準です。

スマホもインターネットの普及率もトップレベルです。

これだけ娯楽が普及すれば“テレビ離れ”にもなります。

スポーツで見ても、昔に比べると数多くのジャンルで活躍していますので、モータースポーツの人気は相対的に低くなるにきまっています。

博報堂生活総研による生活者観測データ「生活定点2014」によると、「よくするスポーツや趣味は何ですか?」の問いに対しての回答一覧が下記です。

DRP

これだけ分散されています。

この中で「自動車・ドライブ」は、決して低い数字ではありません。

DRP

もともとの高い数字は、世界に比べて自動車メーカーもバイクメーカーも圧倒的に多いクルマ・バイク大国としての環境のおかげで関心が高かったのではないでしょうか。

年々減少傾向なのは、その関心が他に分散されているからになります。

 

若者に限ったクルマ・バイクへの関心の低さにだけではなく、そもそもモータースポーツは一般的に認知されていない、又は興味を持たれないだけだと思います。

例えば今年から始まったFIA-F4選手権は、専門誌では特集を組まれ関係者の中では話題を集めています。

しかし、Googleトレンドで見てみると、検索者が少なすぎて動向結果が出ません。

今年から始まったシリーズなので仕方ないとして、日本のモータースポーツイベントで一番の集客を誇る「スーパーGT」で検索してみましょう。(SUPER GTではボリューム不足になります)

検索数は「Jリーグ」(サッカーのカテゴリーのひとつとして)と比べてだいたい1/5〜1/10です。

「F1」だと「Jリーグ」と同じくらいで、「プロ野球」と比べると1/2〜1/8くらいとなります。

つい最近、ワールドカップで決勝リーグに残れなかったにもかかわらず、参戦して初めて3勝を上げたことにより話題となった「ラグビー」が一瞬ですが「プロ野球」の2倍以上の検索結果が出ています。

ここで注意したいのが、Wカップ効果の一瞬だろと思ってはいけないことです。

話題となっていないと思われる年初でも、「F1」や「Jリーグ」と同程度で「スーパーGT」の10倍も検索されています。

DRP

「スーパーGT」はカテゴリーのひとつだからボリュームが少なくなるのではと思ったかたは鋭い!「モータースポーツ」で検索しても結果は同じです…

 

これだけの差が出るのは、マスメディアに露出している時間の差です。

やはり認知され人気を高めるためには、マスメディアの影響が絶大です。

一方で、マスメディアの情報発信力を使いながらも、時代に即した発信の仕方も考えなければなりません。

メルセデスAMGチームの親会社ダイムラー社会長は次のようにコメントしています。

「いま時代の流れは明らかにインターネットを経由した双方向の通信が主流になっている。そうした意味で、F1はモーターレーシングのトップカテゴリーと言いながらもその手段は遅れている。テレビだけでは片方向、F1の魅力を十分に活用しているとは言い難いからね。これからは世界のファンがリアルタイムで意見を書いたり、ピットストップのタイミングを提案するんだっていいと思う。これまでの概念から飛躍したアイデアを検討すべきなのだ」

バーニー氏によって成功をもたらせたF1も変換期に訪れているのかもしれません。

F1開催国がモータスポーツの聖地ヨーロッパから、新興国に移っているのもその一つです。

ヨーロッパで長年培ってきたモータースポーツ文化でさえ時代の流れが変わってきています。

前途したように日本は、クルマ・バイク大国です。

サーキットだって数万人収容規模が6箇所もありますし、タイヤメーカーだって3社もあります。

モータースポーツにとって一カ国でヨーロッパ規模の環境ではないでしょうか。

その中で日本では、モータースポーツをどのように活性化させればよいのでしょうか。

それには、ヒーローの存在・時代に即した情報発信・良い文化の構築の3つが必要だと思います。

 

なぜマスメディアはモータースポーツを取り上げないのでしょうか。

ゴルフの石川遼選手やテニスの錦織圭選手みたいな世界で活躍し、さらにはメディア対応に秀でた選手がモータースポーツ界にはいません。

フェラーリのようなレースを行うためのメーカーと認知される情熱的なマシンがありません。

ヒーローが不在なのです。

また時代に即した情報発信として、発信力のある人達に興味を持ってもらえる工夫が必要です。

例えば、「ハロウィン」がここ数年で何故定着したかというのも参考になるかもしれません。

SNS等で情報発信力の高い若者が、仮装を楽しんでいることがここ数年のブームだと思われます。

「バイク」ではバイク好き芸人として、自分たちのバイク自慢やツーリングやレース等を発信しているのは良い傾向だと思います。

 

そして良い文化の定着というのは、簡単ではありません。

モータースポーツは選手とマシンとチームの競争で知識のない人には複雑なのに、見え方は同じところをグルグル回ってるくらいにしか思われません。

選手とマシンとチームの競争のドラマが伝わらないので、興味がない人には危ない競争という認知になります。

報道でクルマ・バイクの一般道での暴走行為や事故を、レースと同様に認識されていると業界内の人は愚痴ります。

しかしそういう発想が、文化を構築する活動の妨げになっているのではないでしょうか。

暴走行為を報道されたら愚痴るのではなく、モータースポーツ関係者としての積極的な安全の訴えをしていった方が興味を持たれると思います。

例えば格闘技に興味がない人から見れば、野蛮なケンカにと認識します。

関心のないスポーツはポジティブに捉えられません。

しかし、K1はスポーツエンターテイメントとなりました。

今では無くなってしまいましたが、ヒーローがいてメディアに露出し、時代に即した情報発信によって文化が築きあげられている途中だったと思います。

良い文化が確立できれば日本のメーカーも、ヨーロッパのメーカーのようにプロモーションにモータースポーツを積極的に活用できるので、モータースポーツの活性化につながるのではないでしょうか。

興味・関心を持ってもらえる施策をし、良い文化を作ることが人気回復には必要だと思います。

 

DRPでは、プロレーサーを育てるという一つの目標を基に、モータースポーツの活性化に俯瞰的に新しいアプローチで関わっていきたいと思います。

次回は、選手とマシンとチームという要素が重なり合って競い合うスポーツの難しさを、「モータースポーツは車の競争?選手の競争?」というお題で考えてみたいと思います。